台風15号現地リポート~南房総・館山~
更新が滞ってしまいました・・・約9か月振りの投稿になります。
今月より掲載を再開いたしますので、懲りずご覧いただけましたら幸いです。
==================
ニュースでご存知の通り、9月9日未明に台風15号が千葉市付近に上陸・通過しました。その結果、千葉県の総面積の半分以上で、風による甚大な被害を受けたことはご存知かと思います。
特に房総半島の辺りでは、風による家屋の損壊、瓦屋根が吹き飛ぶなどの被害が出たのに加え、千葉県の約8割の市町村で停電が長期化するといった、これまで千葉県が経験したことのない自然災害に見舞われたものです。
筆者はの生まれは千葉県の船橋市。父はいすみ市大原、母は銚子市出身であったため、小さいころから旅行や祖父母の家に行くことが多く、千葉の環境をダイレクトに受けて育ったといっても過言ではありません。
そのため、今回の台風被害は、これまでの自然災害よりもショックは遥かに大きいものでした。現状を調べたくそして、これからできる支援策を考えていきたいと思い、南房総市と館山市に入って取材を行いました。その様子をお伝えします。
倒木が目立つ
最初は車で、南房総市を目指し走行しました。
しかし、目的地に向かう途中から、台風の被害を至るところで受けていました。
千葉市あたりまでは特に目立った被害は見受けられませんでした。日常と変わらない風景だと感じます。
市原市あたりに入ってからは、状況が一変。
木や電柱が斜めに倒れかけていたり、ビニールハウスの損壊を確認できました。
また「道の駅ふれあいパークきみつ」では、あちこちで倒木が。
鴨川市の国道410号線近くの山では、斜面一帯が倒木に覆われているのが遠くからでも確認できました。
目的地に着く前から、あちこちで木が倒れ、道を塞いでいる状況でした。
この一帯の道路は東京近郊とは異なり、片側交互通行や車1台がやっと通れる道路ばかりのため、大型車や自衛隊の車が入るのは困難を極めたのが現状です。
南房総市に入ると
最初の目的地、南房総市の旧白浜町(房総半島の最南端)に着きました。
駐車場に車を停めて辺りを歩いてみました。やはりこの一帯は、風の影響をモロに受けたのがハッキリと分かります。
観光名所「野島崎灯台」は、週末になれば関東各地から観光客が訪れるほど賑わうのですが、人影はまばらでした。また、灯台付近には5~6軒ほどの食堂があるのですが、すべてシャッターが降りていました。鮮魚店1店舗が営業しているのみです。
南房総も屋根が吹き飛んでしまった家屋が多く、家庭ごみ捨て場と思われる小屋が土台から吹き飛んでしまったところもありました。
その中で一番インパクトが大きかったのは、老舗旅館「紋屋」の被害でした。
「紋屋」の創業は大正8年(1919)で、創業当時はJR館山駅に構え、その後今の南房総白浜町に場所を移し営業をしていました。
部屋からは雄大な太平洋を一望することができ、宿泊客も多く訪れる有名な旅館でした。今回の台風により、2階部分の屋根がすべて吹き飛んでいたのです。
数々の家の屋根が吹き飛んだのは取材前からニュースですでに聞いていました。ところが現地に入ると、頑丈に作られている建物までが被害を受けている現実に、開いた口が塞がりませんでした。それだけとんでもない強烈な風が吹いていたことが、すごく伝わります。
南房総の取材で印象に残ったこと
建物の被害状況だけだはなく、現地の方にお話を伺いました。
「確かに建物の被害も大きく、支援物資も入るのが遅かった感は否めない」と話していました。
続いて、停電の状況についても話してくれました。そのときに、今回の台風被害を実感できるコメントを聞くことができました。
「停電は14日夜に、ようやく全域(白浜地区)で完全復旧した。電気が通った瞬間はもう嬉しすぎて、私も含めて家族全員で泣きながら喜んだよ~。しかも隣の家では、喜びながら踊り始めちゃったみたいで(笑)」
これだけ聞くと、ふざけているようにも聞こえるかもしれません。しかしこの住民の方のコメントは、普段私たちがどれだけ電気に依存した生活を送っているかを裏付ける、とても重みもあるコメントだと感じました。それだけ、生活するうえで電気は、切って切り離せるものではないということが分かります。
館山市も深刻
その後館山市内に入り、市南部の布良(めら)地区に入りました。
この地区は発災当初はなかなかマスコミの取材が入らず、被害がどれだけあるのかまったく分からない状況でした。
しかし、この地域も被害は相当なものでした。
とにかく尋常じゃない壊れ方をした家や小屋が、あちこちで見受けられました。「本当に風だけでこんな壊れ方したの?」といったものばかりでした。
この地区は、むしろ何も被害を受けていない家がないくらい、何からしらの損傷を受けた家がすごく目立ったのが印象的でした。同時に、こうした被害は氷山の一角に過ぎない、県内のあちこちで起こっていると思ったところです。
支援物資を届けに
あらかじめ、水2リットル×6本入りケースを3箱と、災害時に使える長期保存食(スイーツ系)を届けました。
地域住民の方が急きょ作った、支援物資の配布スペースがあり、そこに皆さんが物資を取りに来られていました。
取材で得たもの
今回の台風は、公助(行政からの支援)の面で不十分なところもあり、高齢者同士での助け合う必要があるためか、疲れている表情をしている方が多いと感じ取れました。これだけ停電が長期化すると、共助にも限界があると取材を通して一番感じたことです。
改めて、停電になった際の乗り切る方法を真剣に考える必要があると感じました。首から下げて使う小型扇風機を使って暑さをしのぐや、カセットコンロを一家に一台常備しておくなどなど、お金をあまりかけなくてもできる停電対策はあると思います。まだまだ時間はかかると思いますが、今こそ千葉県民が一致団結して、この困難を乗り切ってほしいと切に願うばかりです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。